新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況
新型コロナウイルス感染症の感染が急拡大している。日本は第3波に襲われ、連合王国や南アフリカなどは変異ウイルスへの対応に追われている。
世界の感染者数は新規約40万人、累計約8,000万人、死者数は新規約7,000人、累計約200万人、日本の感染者数は新規約2,000人、累計約22万人、死者数は新規約50人、累計約3,000人、アメリカ合衆国の感染者数は新規約15万人、累計約2,000万人、死者数は新規約1,000人、累計約30万人、東京都の感染者数は新規約500人、累計約6万人、死者数は新規6人、累計約600人などとなっている。数か月前には想像することさえできなかったような数字だ。確固とした感染対策を施さず、最終的な死者数の予測が10万人から数万人に下方修正された時、対策の効果だとうそぶいたドナルド・トランプ米国大統領の自慢顔が遠い昔のことのように思われる。
北半球が冬を迎えていること、日本では全国の感染状況に影響力を持つ東京都で感染者数が増加傾向にあること、変異ウイルスの感染力は従来種の1.7倍あることなどから、先行きの見通しは悲観的だ。
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感染対策こそが経済対策
菅内閣は、安倍内閣にも増して感染対策よりも経済対策を優先しているように思う。もちろん、倒産や解雇が相次ぐようだと自殺者が増えてしまうという問題はある。しかし、感染拡大を放置しておいて経済活動を続けることは不可能だ。台湾のように感染抑制を確実に行った後、経済を振興することこそ、結局は経済対策になるのにと思う。
感染抑制は効率よく、徹底的に行う必要がある。そのため、新型インフルエンザ等対策特別措置法(新型コロナウイルス感染症対策を包含)の改正により、営業時間の短縮指示に従う店舗への支援と従わない店舗への罰則を行うという。(報道では営業時間の短縮要請に従う店舗への支援と従わない店舗への罰則を行うとされていたが、要請に対する罰則とは字義矛盾だと考えられる。)休業指示や移動制限は必要ないのかと思う。
厳しい規制により、より短期間で感染抑制の効果を挙げることができるのではないだろうか。テレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」では、移動制限を守らなかったとして、台湾で数十万〜百数万円の罰金が課された例を示し、日本には馴染まないと論じていた。また、ジャーナリストの青木理さんは、同番組で複数の放送日にわたって、国民の自由を奪う権限を政府に与えることになるという観点から規制強化に反対していた。日本には馴染まないと言うことができる根拠は何なのであろうか。多くの国民の生命が危険に晒されている事態を軽く考えないでもらいたいものだ。また、イデオロギと結び付けて考える問題ではないであろうと強く感じた。
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今後の展望
日本がこの難局を切り抜けるためには、もはや予防接種に頼るしか術はないようになってきたようにも思う。欧米諸国は承認申請から数日間で感染症予防薬の緊急承認を行ったが、日本では特例承認制度を適用しても最短で2か月を要するという。安全性と有効性をしっかりと検証するとしているが、政府には、海外で使用実績が積み重ねられていることと、2か月の遅れは1,000人の更なる人命の喪失を意味するということを踏まえ、また2か月で何をするのか、有効性の問題は後回しにできないのかを明らかにした上で、可及的速やかに審査を行ってもらいたい。
(2020年12月30日執筆、2021年4月8日更新、2024年8月5日掲載)
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