BS−TBSで共産党の活動を紹介
11月20日、BS−TBSのニューズ番組である報道1930において、志位和夫委員長を迎えて、共産党の紹介が行われた。
番組では、東京大学生に対するアンケート結果などを引用し、暴力革命に対する恐怖心のようなものがないことや、具体的イメイジを抱くことが難しいことなどが紹介されていた。
中には、共産党に対して保守という印象を持つ若者が多いことも紹介された。ただし、解説にもあったように、これは、弱者救済を前面に押し出す共産党の主張が、常に変わらないという意味で保守的であると判断されたものだ。伝統的な政治・経済・社会上の秩序の維持を重視するという意味での社会科学上の「保守」とは意味が異なるものであり、特筆するべきものではないと思う。
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共産主義の根本問題への言及を!
情報番組で時折、共産主義を取り上げることは適当なことだと思う。ただし、そのような場合、考えなければならないことがある。
番組では、党名を変更した方がよいのではないかとの意見が紹介され、志位さんがそのような考えはないと説明していた。
党名変更などは枝葉末節であり、綱領を変更する用意があるかどうかということの方がより本質的な問題だ。そして、当然、共産党はそのような意向を持ち合わせていない。また、弱者救済や平和主義など世間受けのする主張を掲げているが、共産主義は以下の3つの根本問題を解決し得ていない。情報番組などでその問題に触れないまま共産党を紹介することは、国民に誤解を与えてしまう。共産党のイメイジ戦略に乗せられていることになり、決して適当なことではないと肝に銘じてもらいたい。
- 世界各国の共産党政権において独裁政治が行われてきたのは、指導者のキャラクターというよりも、共産主義が有している固有の特性によるものと言うことができる。日本において共産党政権が成立した時、これらの国とは異なり、独裁政治に陥らないという保証はない。
- 共産主義においては成果ではなく需要に基づいて所得の分配が行われるため、国民がより多くの所得を稼ごうというインセンティヴを持ち合わせなくなる。同様に、技術革新のインセンティヴも失われる。
- 資本主義においては価格メカニズムにより、将来を含め需要の多い商品・サーヴィスの供給が増える。しかし、価格メカニズムの働かない共産主義においては、このような資源配分の最適化が行われない。その結果、資源の過不足が生じることとなる。同様に、新商品・サーヴィスが生み出される余地がない。
(2019年5月26日執筆、2024年8月5日掲載)
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