情報の受け手のメディア・リテラシーは千差万別
占いに科学的根拠のないことは多くの人が知っている。しかしながら、一般的な記述を示されても表現によっては自分だけに当てはまる特別な記述だと捉えてしまう心理現象などを利用して、信じる人を取り込もうとするのが占いだ。
その是非を問おうとすると、占いは遊びであり、真剣に捉えるべき問題ではないとの意見が集中しそうだ。ここで考えなければならないのは、情報の受け手の中には、メディア・リテラシー(情報を批判的に評価して活用する能力)が豊富な人から全くない人まで、様々な人がいるということだ。中には、ドラマで悪役や敵役を演じている俳優が本当に悪人だなどと思い込み、本人に会うと石を投げる人までいるという。そのような中で、公共の電波や重要なニューズを伝えるべき紙面を使って、占いを扱う意味は何なのであろうか。
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血液型占いは解消
科学的根拠がないものの一例として、血液型占いもあった。子供を中心に受け手の行動を規定するものとして廃されることになった。苛めもあったようだ。その他の占いはどうであろう。星座占いについて考えると、苛めに繋がる可能性は低いかもしれないが、科学的根拠のないものが受け手の行動を規定するという点では同種の問題を抱えていると言うことができるであろう。
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公的な性格を有するメディアでは全く不適当
もし、占い結果の影響を受ける人が全くいないと言うのであれば、放送や新聞で占いを扱う必要はないはずだ。一方、もし、占い結果の影響を受ける人がいると言うのであれば、占い結果を導き出した根拠を示す必要があるはずだ。それを示さずに、少なからず公的な性格を有するメディアを使って、受け手の行動を規定するような情報を提供することは、全く不適当だと考える。
(2015年7月26日執筆、2015年8月1日更新、2024年8月5日掲載)
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