民主党と自由党が9月に統合することが決まった。民主党による自由党の吸収合併であり、名称、執行体制、政策はすべて民主党のものを引き継ぐことにしているため、各新聞の論調を見ると、総じて産経新聞、読売新聞、日本経済新聞など右派寄りの新聞は批判的で、朝日新聞、毎日新聞など左派寄りの新聞は好意的であった。
政党の統合に政策の一致が必要なことは論を待たない。しかし、政権獲得の可能性のない政党が政治的に大きな意味を持たないことも事実だ。そして、小選挙区制の下では、野党がまとまらない限り、政権獲得の可能性はないと言ってよいであろう。また、いずれまとまるのであれば、選挙協力よりも統合の方がインパクトが大きい。幸いなことに、民主党と自由党は、構造改革という点で政策の一致を見ており、野合という批判は当たらないと考える。さらに、菅直人民主党代表や小沢一郎自由党党首が模索するように、社会民主党を含めた大同団結ができれば、より大きな影響力を発揮することができるであろう。ただ、共産党など独自政党の存在が政権交代の可能性を低くしていることは残念だ。
このように主張するからと言って、自由民主党の役割を否定しているわけではない。我が国の経済発展にとって自由民主党の安定政権の役割は非常に大きかったと考えるし、現在も自由民主党には多くの有能な政治家がいる。しかし、対抗馬のない長期安定政権では、変革の時代に対応することができるかどうか疑問なのだ。
民主党と自由党の統合は、二大政党制が確立する契機となるであろうか。現時点では不確定な要素も多いが、ぜひそうなってもらいたいものだ。一部に中選挙区制の復活を企図する政治家がいるが、時代は既に動き出していることを忘れないでもらいたい。
(2003年7月29日掲載)
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